年を重ねるにつれて膝に違和感が現れ、痛みを感じるようになった方は「変形性膝関節症」の可能性があります。変形性膝関節症の症状が進行すると、膝の痛みや可動域制限が強くなり、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。変形性膝関節症の進行を少しでもおさえるためには、膝まわりのトレーニングが重要です。
この記事では、変形性膝関節症の症状やトレーニングによる効果、具体的なメニューについてご紹介します。トレーニングをするメリットを知ったうえで実践できるようになれば、症状の悪化予防につながるでしょう。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、膝関節を支える「関節軟骨」と呼ばれる部分がすり減り、痛みや機能低下などを引き起こす疾患です。ここでは、変形性膝関節症の具体的な症状や原因について解説します。
変形性膝関節症の症状
変形性膝関節症になると、以下のような症状が現れます。
• 運動開始時の痛み
• 夜間時の痛み
• 階段昇降の困難さ
• 患部の熱感・腫脹
• 膝関節可動域制限
• 膝崩れ
これらの症状は変形性膝関節症となってからすぐに発症するのではなく、毎日の進行によって徐々に出現することもあります。膝の変形が進行すると関節軟骨がさらにすり減り、症状のさらなる悪化につながるでしょう。膝の痛みや可動域制限によって、歩行や日常生活に大きな支障をきたす恐れもあります。
変形性膝関節症を引き起こす原因
変形性膝関節症を引き起こす原因は、おもに「加齢」と「ケガ」によるものです。加齢による影響で膝関節に歪みが生じて、関節軟骨が徐々にすり減ることで起こります。とくに、50〜80歳の年代の女性が発症する割合が多いといわれています。
ケガによって膝の関節軟骨にダメージを受けると、同様に変形性膝関節症となる恐れがあるでしょう。その他にも、生まれつき足がOの字になっている「O脚」となっている、体重が重いなどの原因によって変形性膝関節症となるケースもあります。
変形性膝関節症のトレーニングによる効果
変形性膝関節症のトレーニングを行うことで、どのような効果を得られるのでしょうか?ここではトレーニングで得られる効果について解説します。
膝関節の安定性の向上
変形性膝関節症のトレーニングによって、膝関節にかかる負担が軽減されて安定性の向上につながります。変形性膝関節症では膝関節のすり減りによって、関節面が不安定となりやすい状態といえます。
また、膝の痛みや筋力の衰えによる影響で関節の安定性がさらに低下し、転倒やケガを引き起こす恐れがあるでしょう。トレーニングによって膝まわりの筋肉を鍛えることで、関節の安定性が高まり転倒の予防が期待できます。
膝の痛みの軽減
トレーニングは膝の痛みの軽減も期待できます。膝まわりの筋力が衰えている状態だと関節にかかる負担が強くなるため、安定性の低下だけでなく痛みも助長してしまうでしょう。
膝まわりの筋力を鍛えることで関節にかかる負担が減少して、痛みの軽減につながります。とくに体重が重い方は、その分膝にかかる負担も大きくなるので、筋力を十分に鍛えて関節面を守ることが大切です。
日常動作の改善
トレーニングによって歩行をはじめとした日常動作の改善にもつながります。変形性膝関節症によって関節の痛みや不安定さが現れている状態では、普段の生活で行っている動作にも悪影響が現れます。普段の生活で行っている動作ができない、あるいは不安定となると自身の生活範囲を狭めてQOL(生活の質)を低下させる原因となるでしょう。
トレーニングで膝まわりの筋力を鍛えたり、柔軟性を改善したりすることで、動作が安定して生活の質を保てるようになります。
変形性膝関節症のトレーニングで注意したいポイント
誤ったトレーニング方法をすると、変形性膝関節症を悪化させてしまう恐れがあります。ここではトレーニングの際に注意したいポイントを解説します。
膝を深く曲げない
膝を深く曲げないように注意しましょう。膝を曲げすぎると関節の負担が大きくなるため、変形性膝関節症を悪化させる原因となります。とくに膝の可動域制限がある場合は、ムリして深く曲げたり伸ばしたりしないように注意しましょう。
また、これは日常生活でもいえることです。正座や和式トイレ、畳生活などは膝を深く曲げるきっかけが多いといえます。可能であればベッドや洋式トイレ、イスを使用して膝を曲げすぎないような生活を送りましょう。
膝に負担をかけすぎない
トレーニングの際は膝に大きな負担をかけすぎないようにしましょう。膝を曲げすぎるような運動はもちろん、重いものを持って行うようなトレーニングは関節に負担をかけやすくなります。
また、長時間立って行うトレーニングやダイナミックに動くトレーニングも、膝に負担がかかりやすいです。膝に負担がかかる運動を継続すると、かえって症状が悪化する恐れもあるため、トレーニング内容には十分に注意しましょう。
膝の痛みが出ているときはムリをしない
膝の痛みが出ているときはムリして運動を行わないようにしましょう。膝の痛みが出ている状態で我慢をしながらトレーニングすると、かえって症状が悪化する恐れがあります。
また、膝の痛みを庇いながらトレーニングすると、他の筋肉や関節を痛める原因にもなります。痛みが出ている場合は運動を休み、膝のケアに専念しましょう。それでも痛みが継続する場合は変形性膝関節症の症状が進行している可能性があるので、整形外科への受診をおすすめします。
変形性膝関節症のトレーニング内容
変形性膝関節症のトレーニングとして行うのは、おもに以下の3つです。
• 関節可動域トレーニング
• 筋力トレーニング
• 有酸素運動
ここではそれぞれのトレーニング内容について詳しく解説します。
関節可動域トレーニング
関節可動域トレーニングによって膝まわりの組織や筋肉の柔軟性を改善して、可動域を改善する方法です。痛みによって膝を動かす機会が少なくなると、組織や筋肉が硬くなって関節可動域制限を引き起こす可能性があります。
膝が動きにくくなると、歩いたり座ったりするときの日常的な動作がしにくくなるだけでなく、転倒を引き起こす恐れもあります。関節可動域トレーニングでは、ストレッチを中心に行って組織や筋肉の柔軟性を高めることが大切です。
トレーニング内容の例としては、以下の通りです。
【膝の曲げ伸ばしによるストレッチ】
1. ベッド上であお向けになり、両足を伸ばした状態で上体を起こす
2. 片膝を曲げて、かかとをお尻にゆっくりと近づける
3. 可能な範囲で膝を曲げたら、ゆっくりと膝を伸ばす
4. 2〜3の手順を10回×2セット行う
膝を曲げ伸ばしして太ももの前についている「大腿四頭筋」の柔軟性を高めるストレッチ方法です。
【膝蓋骨のストレッチ】
1. 浅く座った状態で片膝を伸ばしてリラックスする
2. 両手で膝のお皿(膝蓋骨)をつかみ、上下・左右・斜め方向にゆっくりと動かす
3. それぞれの方向を10回×2セットずつ行う
膝蓋骨まわりの組織や筋肉の柔軟性を高めて、動きやすいようにするストレッチ方法です。
筋力トレーニング
筋力トレーニングによって膝まわりの筋力強化を図ります。変形性膝関節症によって膝を動かす機会が少なくなると、徐々に筋力が衰えて、関節の安定性が損なわれる恐れがあります。膝まわりの筋力をつけることで、関節の安定性が高まり、痛みの軽減も期待できるでしょう。
変形性膝関節症の筋力トレーニングの内容は、以下の通りです。
【膝の曲げ伸ばしの運動】
1. イスに座って姿勢をまっすぐにする
2. 片膝をゆっくりと伸ばす
3. 伸ばし切ったらその状態を10秒キープする
4. ゆっくりと足を下ろす
5. 2〜4の手順を左右で20回×2セット行う
大腿四頭筋の筋力を高めるためのトレーニングです。
【パテラセッティング】
1. ベッド上で足を伸ばして、上体を起こしておく
2. 膝の下にクッションや丸めたタオルを置く
3. クッションやタオルを押し付けるイメージで膝に力を入れる
4. 5秒間キープしたら力を抜く
5. 3〜4の手順を5回×2セット行ったら反対でも3セット行う
こちらも大腿四頭筋のトレーニングですが、膝を大きく動かさなくても行えるのが特徴です。
【ボールを潰す運動】
1. イスに座って姿勢をまっすぐにする
2. 両膝の間にボールやクッションを挟む
3. ボールやクッションを潰すイメージで両膝に力を入れる
4. 5秒間キープしたら力を抜く
5. 3〜4の手順を10回×3セット行う
太ももの内側についている「内転筋」の筋力を高めるためのトレーニングです。
有酸素運動
変形性膝関節症のトレーニングでは、有酸素運動もおすすめです。膝に負担のかかりにくい有酸素運動を継続すれば、筋力・体力の向上や脂肪燃焼につながるでしょう。脂肪燃焼によって体重が減れば、さらに膝にかかる負担も軽減できます。
変形性膝関節症の方も行いやすい有酸素運動としては、ウォーキングがあげられます。まずはウォーキングからはじめて、少しずつ運動習慣を作ってみましょう。ウォーキングは1日20〜30分、週に3回以上の実施が望ましいですが、膝の状態にあわせてムリの無い範囲で行うことが大切です。
変形性膝関節症のトレーニングで症状の悪化予防を
変形性膝関節症は少しずつ進行する疾患であり、悪化すると日常生活にも支障が出る恐れがあります。症状によって衰えた膝まわりの筋力を取り戻すには、トレーニングの実施が重要です。トレーニングによって筋力や可動域を改善することで、膝関節の痛みの軽減、安定性の向上が期待できます。
今回の記事を参考にして、痛みに注意しながら変形性膝関節症のトレーニングを行ってみましょう。また、1人でのトレーニングが難しい場合は、ジムやパーソナルトレーナーを利用するのもおすすめです。
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