リハビリ病院やオーストラリアのフィットネス業界での経験を持ち、高齢者の身体機能改善や自費リハビリに精通した専門家が、正確かつ実践的な情報をお届けします。
【理学療法士監修】70代から始める安全な筋トレメニューと注意点
キーワード:70代 筋トレ/高齢者 筋力低下/安全な運動/自宅トレーニング/港区 高齢者 パーソナルトレーニング/理学療法士監修
1.70代から筋トレを始めるべき理由
「今さら遅い?」——答えはNO。今日がいちばん若い日です。週1〜2回・8〜12週間の継続でも、立ち座りの楽さ・歩幅・ふらつきの減少など、日常に直結する変化は十分に起こります。鍵となる筋は太もも前(大腿四頭筋)/ふくらはぎ(下腿三頭筋)/お尻(中殿筋)。ここを安全に刺激し続けることで、転倒予防・腰膝の負担軽減・生活の自立度向上が期待できます。
- 買い物や外出が億劫でなくなる/移動距離が伸びる
- 階段・段差での不安が減り、つまずき予防につながる
- 姿勢が整い、呼吸や食事が楽になる(胸郭が動きやすくなる)
- 「できた」が増えて自信が回復、行動量が自然に増える
- 睡眠が整い、日中のだるさが軽減する
- 趣味や外出の再開・継続につながり、生活の満足度が上がる
医療的注意:心疾患・呼吸器疾患・整形外科手術歴のある方は、主治医と相談のうえ開始を。血圧コントロール中の方は測定しながら、呼吸を止めずに実施しましょう。
2.安全な筋トレ3選(自宅・器具少なめ)
共通ルールは「痛みゼロ・呼吸は止めない・ゆっくり」。最初は各種目“少量”から始め、翌日の疲れ具合で回数を調整します。
2-1.セラバンドを使った上肢運動(肩まわり・背中)
ねらい:肩甲骨まわりと背中を穏やかに刺激し、姿勢と呼吸を整える。上半身の安定は立ち座りや歩行の安定にも波及。
準備:軽〜中強度のセラバンド(輪にして使えるタイプが便利)
- 椅子に浅めに座り、背すじを軽く伸ばす。お腹にそっと力。
- 両手でバンドを肩幅に持ち、吐きながら左右に引き広げる。肩はすくめない。
- 吸いながらゆっくり戻す。反動は使わない。
回数目安:8〜10回 × 2セット(余裕あれば3セット)/週2回
ありがちな失敗:腰反り/首すくめ。→ バンド強度を下げ、胸を張りすぎない。
2-2.椅子からの立ち座り(下肢・体幹)
ねらい:太もも前・お尻・体幹の同時強化。日常の立ち上がり・階段昇降の“土台”。
準備:安定した椅子(座面は少し高めが安全)。必要に応じて机や手すりで補助。
- 椅子に浅く座り、足は肩幅、つま先やや外。
- 胸を軽く張り、鼻から吸う→口から吐きながら前方へ体重移動し立ち上がる(膝が内側に入らない)。
- 立ち切ったら1秒静止。ゆっくり座る(ドスン禁止)。
回数目安:5〜8回 × 2セット(慣れたら10回×3セット)/週2回
痛み対策:座面を高く/クッション使用/手すり補助。難度UP:3秒かけて下ろす/腕を組む。
2-3.カーフレイズ(かかと上げ/ふくらはぎ)
ねらい:歩行の蹴り出し強化・ふらつき減少・むくみ対策。ふくらはぎは“第二の心臓”。
準備:キッチン台など掴まれる場所。
- 足は腰幅、軽く台に手を添える。
- 吐きながらかかとをゆっくり持ち上げ、1秒静止。
- 吸いながらゆっくり下ろす(床に落とさない)。
回数目安:10〜12回 × 2セット(慣れたら3セット)/週2〜3回
発展:片脚で左右各8回から。就寝前に軽く行うと夜間こむら返りの予防に役立つことも。
3.体調チェックと運動前後のストレッチ
型はいつも同じ:体調チェック → ウォームアップ → 本トレ → クールダウン。崩さないことが安全最短ルートです。
3-1.開始前の体調チェック(60秒)
- 安静時の息切れ・動悸はないか
- 胸痛・強いめまい・ふらつきはないか
- 膝・腰の痛みが強い日は“可動域だけ”に留める
- 血圧が高めの日は量を半分に/休養に切替もOK
3-2.ウォームアップ(2〜3分)
- 足首・膝・股関節の曲げ伸ばし 各10回
- 肩回し 前後 各10回
- その場足踏み 30〜60秒(転倒注意)
3-3.クールダウン(2〜3分)
部位 | 方法 | 時間 |
---|---|---|
ふくらはぎ | 壁に手、片脚を後ろへ引いてアキレス腱を伸ばす | 左右各20〜30秒 |
太もも前 | 椅子につかまり、片脚の足首を持って膝を後ろへ | 左右各15〜20秒 |
胸・肩 | 両手を後ろで組み、胸を軽く開く(反動なし) | 15〜20秒 |
3-4.痛みが出たときの判断
- 鋭い痛み・ズキっと:即中止。安静・アイシング。必要なら受診。
- 張り・だるさ:一時的なら正常。翌日強ければ次回は量を半分に。
- 熱感・腫れ:炎症サイン。休養し、無理をしない。
4.よくある質問(Q&A)
- Q1.頻度は?
- A.まずは週2回。体調安定後に週3回へ。切らさないことが最優先です。
- Q2.回数・セットは?
- A.各8〜12回×2セットが目安。強い疲れが残る場合は6〜8回×1セットに。
- Q3.痛みがある日は?
- A.鋭い痛みは中止。ストレッチや可動域練習へ切替。数日続く痛みはフォーム・メニュー再調整を。
- Q4.持病(心臓・血圧)が心配。
- A.主治医へ相談のうえ、会話できる強度から。息止め禁止。開始前後に血圧測定を。
- Q5.歩くのと筋トレ、どちらを先に?
- A.70代はまず筋トレで土台→ 仕上げに10〜15分の歩行。膝・腰への負担を抑えやすい順です。
- Q6.どのくらいで変化?
- A.個人差はありますが3〜4週で立ち座りが楽に。月1回の簡単計測(立ち座り回数・つま先立ち回数・歩行時間)で実感が高まります。
5.出張トレーニングRioToRe(リオトレ)の高齢者向け筋力アップコース
RioToReは、理学療法士トレーナーがご自宅へ訪問して行う出張型パーソナルトレーニングです(港区・渋谷区ほか対応)。既往歴・服薬・生活動作まで確認し、安全第一・無理のない強度でプログラムを設計します。
特徴
- 国家資格者が担当:評価→計画→実施→再評価を毎回ループ
- 完全オーダーメイド:椅子の高さ/バンド強度/休憩時間まで最適化
- 見える化:立ち座り回数・歩行動画などを定期記録しご家族とも共有
- 再発予防:腰・膝の負担分散を最優先。痛みサインで即調整
コースの流れ(初回〜8週間)
- 初回評価(約80分):姿勢・歩行・可動域・痛み・生活目標を確認
- 基本期(1〜4週):本記事の3種目+呼吸再教育で「楽に動ける体」を作る
- 強化期(5〜8週):回数は据え置き、テンポをゆっくりにして強度を上げる
- 定着期(9週〜):外出・階段・旅行など実生活の目標に落とし込む
料金(例):60分 18,700円(税込)/80分 22,000円(税込)
対応エリア:港区・渋谷区ほか(ご相談ください)
6.続けるためのミニテクニック
- 曜日固定:“月・木の午前”など決めて、カレンダーにチェック
- 1セットでOK:「少し物足りない」で止めると翌週も続く
- 痛みゼロ主義:違和感は黄色信号。回数よりフォームを優先
- 月1計測:立ち座り回数・つま先立ち回数・歩行時間を記録
- 家族と共有:できた報告は継続の燃料。小さな達成を褒め合う
7.まとめ
70代の筋トレに特別な器具は不要。上半身(セラバンド)/立ち座り/ふくらはぎの3点を、週2回・少量で丁寧に積み上げれば、生活の質は十分に変わります。痛みや不安があれば、理学療法士にフォーム確認を受けてから。
今日の1セットが、半年後の足取りを軽くします。
【監修者プロフィール】
八幡 亮(やわた りょう)
国家資格:理学療法士(PT)
RioToRe代表。
回復期リハビリ病院にて4年間、脳血管疾患や整形外科術後の患者を含む2,000人以上の症例を担当。その後オーストラリア・シドニーでパーソナルトレーナー/指圧マッサージセラピストとして活動。
現在は東京を拠点に、理学療法士トレーナーによる高齢者専門の出張型パーソナルトレーニング・自費リハビリ「RioToRe」を運営。企業の健康経営サポートや講演活動も行い、最新のリハビリ知見を活かしたサービスを提供している。
<メディア出演>
テレビ東京「なないろ日和」出演
雑誌・Webメディアにて健康記事を多数監修