リハビリ病院やオーストラリアのフィットネス業界での経験を持ち、高齢者の身体機能改善やパーソナルトレーニング、自費リハビリに精通した専門家が、正確かつ実践的な情報をお届けします。
【介護を遅らせる科学】高齢者の“廃用症候群”を家庭で防ぐ方法
高齢のご家族を見ていて、「最近動く量が減った」「立ち上がりが遅くなった」「外出の頻度が少なくなった」──そんな変化に気づくことはないでしょうか。
これらの変化は、年齢のせいだけではなく “廃用症候群(はいようしょうこうぐん)” の初期サインである可能性があります。
廃用症候群は適切に対処すれば予防でき、進行を止めることも可能です。本記事では、介護を遅らせたいご家族や、将来に備えて健康維持したいシニアの方に向けて、理学療法士が科学的根拠に基づきわかりやすく解説します。
1. 廃用症候群とは?「使わない」が身体を弱らせる
廃用症候群とは、“身体を使わないことで機能が低下してしまう状態” を指します。加齢とは別の現象であり、誰にでも起こり得ます。
最も多いきっかけは以下です。
- 入院・手術後の安静期間
- 外出機会の減少
- 家で座って過ごす時間の増加
- 家族がサポートしすぎる「過介助」
- 転倒が怖くて動かなくなる
身体は “使わない時間” に合わせて急速に変化します。特に下半身の筋力は短期間で衰えやすく、2〜3週間の活動量低下で歩行機能が目に見えて落ちることも珍しくありません。
2. 家庭で気づきたい「廃用の初期サイン」
廃用症候群の怖い点は、進行がゆっくりで気づきにくいことです。次のような変化があれば要注意です。
- 歩くスピードが以前より遅くなった
- 立ち上がるのに手すり・テーブルが必要になった
- 家の中での移動距離が明らかに短い
- 段差や階段を避けるようになった
- 「今日は疲れた」と座っている時間が増えた
- すぐに息が上がる
これらはいずれも、介護状態に近づく前の“予兆”です。早期に対応すれば改善するケースがほとんどです。
3. なぜ家庭で廃用症候群が進行しやすいのか?
実は、家は身体機能が落ちやすい環境がそろっています。
① 家族の「優しさ」が逆効果になることも
つまずきや転倒が心配なあまり、家族が過度にサポートすると、本人が動く機会が減ります。
これは結果として筋力低下・バランス低下を招きます。
② 外出頻度の低下
外出は歩行量・心肺機能の維持に直結します。外出が減ると、脚力・体力は確実に落ちていきます。
③ 家の中の動きが少ない生活動線
・段差が少ない
・座って過ごす時間が長い
・ほとんど歩かなくても生活できる
高齢者にとっては便利ですが、身体機能の維持という点では要注意です。
4. 科学的根拠から見た「介護を遅らせる鍵」
研究データでは、以下の3つが介護リスクと強く関連しています。
① 歩行スピード
「歩く速さ」は寿命にも関係する重要な指標です。
歩行スピードが低下すると、転倒リスク・要介護リスクが上昇することが知られています。
② 下肢筋力(特に太もも・お尻)
立ち上がりの速さ、階段の上りやすさに影響します。
筋力は年齢より “使っている量” に比例します。
③ 片脚立ち能力
バランス力の指標で、10秒未満になると転倒リスクが高まります。
廃用症候群が進むと片脚立ちが著しく困難になります。
5. 家庭でできる「廃用症候群の予防メソッド」
ここでは理学療法士の視点から、安全に自宅でできる方法をご紹介します。
① 1日3回の「立ち上がり運動」
椅子に座った状態から、手を使わずに立ち上がる動作を5〜10回。
お尻・太ももを使う最も効果的なトレーニングです。
② 2分間の室内歩行
廊下や部屋の中をゆっくり歩くだけでOK。
ポイントは“毎日必ず歩く習慣”をつくること。
③ 段差を使ったミニステップ
玄関の段差で「1段だけ上り下り」をゆっくり行うと脚力の維持に最適です。
④ ふらつきやすい方は「立位保持」から
姿勢をまっすぐにして10〜20秒立つ練習。
慣れたら前後・左右に重心移動を行いましょう。
⑤ 過介助を避ける「自分でやってもらう」工夫
家族が手を出しすぎると、本人の動く量が減ります。
安全を確保したうえで、“できることは自分で” が理想です。
6. 家族ができる「声かけ」と「サポートの仕方」
廃用症候群の予防には、家族の関わり方が大きく影響します。
- 「一緒に歩こう」と誘う
- 急かさず、本人のペースで動いてもらう
- やる気が出ない日は“1分だけ”など小さな目標を設定する
- 成功体験を積ませて自信を取り戻してもらう
運動は“気持ち”と密接に関係します。
家族のポジティブな声かけは、運動量を増やす有効なサポートになります。
7. 自宅環境を整えることも大切
以下のような環境を整えると、廃用症候群の進行を防ぎやすくなります。
- つまずく箇所を減らす(カーペット段差・コード類)
- 椅子やベッドの高さを調整して立ち上がりやすくする
- 手すりの設置
- 家の中に「歩く動線」を作る
生活環境と運動量は密接に関係しているため、小さな工夫でも効果は大きく変わります。
8. まとめ|廃用症候群は“家庭で確実に予防できる”
廃用症候群は、年齢の問題ではなく “使っていない時間” の影響が大きい状態です。
しかし、早期に気づき、正しい方法で身体を動かせば、進行を止めたり改善したりすることは十分に可能です。
・歩行スピード
・下肢筋力
・バランス能力
これらは家庭での習慣づくりで大きく変えることができます。
「最近動く量が減ってきたかも…」
「転倒が怖くて運動できていない」
そんなご家族がいる場合は、ぜひ今日から小さな一歩を始めてみてください。
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高齢者の廃用症候群を予防し、健康で自立した生活を送るためには、日常的な運動やリハビリが欠かせません。
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【監修者プロフィール】
八幡 亮(やわた りょう)
国家資格:理学療法士(PT)
RioToRe代表。
回復期リハビリ病院にて4年間、脳血管疾患や整形外科術後の患者を含む2,000人以上の症例を担当。その後オーストラリア・シドニーでパーソナルトレーナー/指圧マッサージセラピストとして活動。
現在は東京を拠点に、理学療法士トレーナーによる高齢者専門の出張型パーソナルトレーニング・自費リハビリ「RioToRe」を運営。企業の健康経営サポートや講演活動も行い、最新のリハビリ知見を活かしたサービスを提供している。
<メディア出演>
テレビ東京「なないろ日和」出演
雑誌・Webメディアにて健康記事を多数監修

