親が疲れやすくなった…それは“筋力低下”のサインかもしれません|家族がまずやるべき正しい対処
高齢者の身体機能改善・転倒予防・在宅トレーニング指導に精通した専門家として、エビデンスに基づく情報をお届けします。

「親が以前より疲れやすい」「外出をしたがらなくなった」「動く量が減っているように感じる」──
40〜60代の娘・息子が最初に気づく“親の変化”は、往々にして筋力低下・活動量低下・フレイルの初期サインであることが少なくありません。
しかし、家族としては次のような葛藤も生まれます。
- 歳だから仕方ないのか、それとも何か対策すべきなのか…
- 病院に連れて行くほどではない気がするけれど、少し気になる
- 無理に運動させるのも心配
- 親が「大丈夫」と言うので踏み込めない
こうした「軽度の変化」は放置されやすい領域ですが、身体機能の専門家として断言できるのは、“疲れやすさ”は必ず理由があるということです。そして、その多くは適切な評価と正しい運動で改善傾向が得られやすい領域でもあります。
この記事では、家族が最初に気づく「疲れやすさ」「動かなくなる」という変化の理由、それをどう見極めるか、そして何から始めるべきかを、理学療法の専門知識と最新エビデンスに基づいてやさしく解説します。
1. 親が疲れやすくなる理由とは?医学的に見る3つの要因
① 下肢筋力の低下(特に大腿四頭筋・臀筋)
高齢者の疲れやすさの最も大きな原因は、下肢筋力の低下です。
年齢とともに筋量は年間1〜2%減少し、特に70代からは低下速度が加速します。太もも・お尻の筋力が落ちると、階段・立ち上がり・歩行のすべてに影響します。
理学療法の研究では、太もも前の筋力(膝伸展筋力)と歩行自立レベルには強い関連があることが報告されています(Fiatarone, 1990)。
② 持久力(心肺機能)の低下
動く量が減る→心肺機能が下がる→さらに疲れやすくなる、という「負の連鎖」が起きます。
自覚症状としては、
- 少し歩くと息が上がる
- 立っているだけで疲れる
- 午前と午後で大きく元気が違う
これらはフレイルの典型的兆候です。
③ 日常生活活動量の減少(生活スタイルの変化)
シニア世代は活動パターンが固定化しやすく、徐々に外出機会が減っていきます。
研究では、活動量が低い高齢者は2〜3年で歩行速度が有意に低下することが示されています。
歩行速度は「健康寿命の指標」とも呼ばれ、Studenski(2011)の研究では、歩行速度が遅いほど死亡率が高いという関連性も示されています。
2. 家族が“疲れやすさ”に気づいたら、まず見るべきポイント5つ
病院に行くべきか、運動で対処できる状況かを判断するために、家族でも簡単に確認できる評価を紹介します。
① 立ち上がりに時間がかかっていないか
椅子から立ち上がる動作は下肢筋力の代表的指標です。
目安として、
- 手を使わずに立てない → 筋力低下の可能性大
- 立ち上がりに2〜3秒以上かかる → 要注意
② 歩行速度が落ちていないか
普通に歩いて「遅くなった」と感じる程度でも、身体機能低下の重要なサインです。
一般に、
- 1秒間に1.0m未満(時速3.6km未満) → フレイルリスク
③ 午後になると疲労が強くなる
一日の後半に疲れやすくなるのは、持久力低下の特徴です。
④ 外出の頻度が減った
「今日はいいや」「また今度」が増えるのは、心理よりも “身体のしんどさ” が理由であることが多いです。
⑤ 睡眠時間が増えた
疲れやすさ → 活動量低下 → 睡眠過多という流れは典型的なフレイルパターンです。
3. 家族がやりがちな“逆効果になる声かけ・サポート”
① 「もっと動いたほうがいいよ」は逆効果
本人は「疲れる」ことが不安なので、指摘されるとさらに動かなくなります。
② 急に散歩や運動をさせようとする
準備なしのウォーキングは膝痛・腰痛の原因になります。
トレーニング介入研究では、下肢筋力を先に高めることで歩行機能の向上が得られやすいことが示されています(Latham, 2004)。
③ 病気扱いして心配しすぎる
多くの場合、運動介入で改善傾向が得られる領域です。
過度な不安は逆に本人を委縮させます。
4. 今日から家庭でできる“安全で効果的な”サポート
① 椅子からの立ち座り(スクワットの代替)
安全にでき、かつ科学的にも効果が高い運動です。
1日10〜15回 × 2〜3セット。
② 足を大きく上げる意識づけ
歩行時の「すり足」は転倒リスクに直結します。
軽い足上げ練習を取り入れるだけでも違いが出ます。
③ 10〜15分の短時間歩行
長時間歩く必要はありません。
研究では、短時間の歩行を毎日積み重ねるだけで心肺機能の維持に効果的とされています。
④ 下肢・体幹の筋力トレーニング

例:軽いスクワット、つま先立ち、片脚立ち(安全確保必須)。
歩行速度改善には、筋力トレーニングが有効というエビデンスが多数あります(Sherrington, 2011)。
5. 家族でのサポートが難しい理由|第三者の専門家が必要になる瞬間
① 親が素直に運動を受け入れない
多くの高齢者は「運動の必要性」を理解していても、家族に言われると反発しやすい傾向があります。
② どの運動が安全かわからない
筋力低下が進むと、間違った運動で痛みが出てしまい、その後の継続が難しくなります。
③ 継続の仕組みが作れない
週1〜2回の専門家の介入があると、運動習慣が形成されやすいことが研究で示されています。
6. 理学療法士による在宅トレーニングが選ばれる理由
高齢者の身体機能改善には「評価 → 運動処方 → 継続」という専門的プロセスが必要です。
理学療法士は解剖学・運動学・歩行分析に基づいて、
- どの筋力が弱くなっているか
- なぜ疲れやすいのか
- どの動きにリスクがあるか
- どの運動が最も効果的か
を精密に判断できます。
特に「疲れやすい」という曖昧な悩みは、
専門家が見て初めて原因が明確になるケースが多い領域です。
7. RioToRe(リオトレ)が提供する“高齢者(シニア)特化の出張パーソナルトレーニング”
高齢者の廃用症候群を予防し、健康で自立した生活を送るためには、日常的な運動やリハビリが欠かせません。
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【参考文献】
- Studenski S, et al. Gait speed and survival in older adults. JAMA. 2011.
- Fiatarone MA, et al. High-intensity strength training in nonagenarians. JAMA. 1990.
- Latham NK, et al. Strength training for older adults. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2004.
- Sherrington C, et al. Exercise to prevent falls in older adults. J Am Geriatr Soc. 2011.
- EWGSOP: European Working Group on Sarcopenia in Older People. 2010, 2019.
- AWGS: Asian Working Group for Sarcopenia. 2014, 2019.
- WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour. 2020.
- Guralnik JM, et al. Lower-extremity function in older adults. N Engl J Med. 1995.

